ジャズピアノで使うテンション・コード
ジャズではテンション・ノートを含むテンション・コードを使います。
コードネームの基本がわかっていても、テンション・コードを使えなければジャズは弾けません。
本記事でテンション・ノートについて学びましょう。
1.テンション・ノートとは
テンションという言葉は、日常会話で使う場合は、やる気が出るとか、気持ちが高揚するというような意味で「テンションが上がる」という使い方をしますが、tentionの意味は実は「緊張」なのです。
ノートは音のことなので、テンション・ノートとは「緊張感を付加する音」という意味になります。
もっというと、安定感のあるコードに緊張感の出る音を付加することで、より刺激的な、面白い響きを作り出す音、ということになりますが、ジャズでは普通の「C」というコードネームに対してもそのまま「ドミソ」だけを弾くことはなく、必ずテンション・ノートを入れて弾くのがお約束になっています。
2.テンション・ノートの見つけ方
和音は「ドミソ」のように、根音から一つ飛ばしで順番に重ねて作られますが、根音である「ド」からみて「ミ」は3度上なので3rd、「ソ」は5度上なので5thといいます。
7thより上の音がテンション・ノートになりますので、9th、11th、13thまで存在します。
15thは根音と同じ音になりますので、テンションにはなりません。
これらのテンション・ノートはそのまま使われることもありますが、半音上下しながら使われることがあり、大雑把に言うと、そのまま使われる場合をナチュラル・テンション、半音変化した音をオルタード・テンションといいます。
オルタードとは「変化した」という意味で、ナチュラル・テンションよりも刺激的で、♭9th、#9th、#11th、♭13thがあります。
試しに「ドミソ」の和音と一緒に1オクターブ上の「レ」を弾いてみてください。
「ドミソ」の和音に比べると、おしゃれな感じになったと思います。
今度は「レ」を半音下げたオルタード・テンション「♭レ」を弾いてみると、メジャーコードなのにさびしい感じがする不思議な感じです。
更に「#レ」にしてみるとまったく違い、鋭さが感じられるコードになりました。
最後に「レ」に戻して弾いてみると、ナチュラル・テンションはオルタード・テンションに比べると、とても素直な響きであるかがわかります。
3.オルタード・テンションの感覚
♭系のオルタード・テンションは寂しさや哀愁が強く漂います。
♯系のオルタード・テンションは激しさや鋭さの色合いが濃くなります。
#11thは使い方次第で幻想的なニュアンスを出すこともできる音ですので、いろいろ試してみて下しさい。
4.テンション・コードの弾き方
さて、テンション・コードに含まれる音はすべて弾かなければならないわけではありません。
そのコードを特徴付ける音さえ弾いていればいい、ということで、省略してもあまり響きが変わらないは省略して弾くことができます。
まず、♭5thでなければ、5thは省略できます。また、根音はベースが担当しているので、これも省略できます。
逆に、3rdはそのコードの調性を決定する音なので省略することができません。
テンションもニュアンスを決定する音になりますが、数字の大きいものがあればそれを優先的に残します。
例えば、「ド・ミ・ソ・♭シ・♭レ・♯ファ」という和音を弾いてみて、「ソ」、「ド」、「♭シ」、「♭レ」の順で音を省略してみるとよくわかると思います。
ジャズピアノのコードの練習法ですが、コードネームを見てすぐ必要な音を弾けるようにならなければなりませんので、次のような練習法が有効です。
まず、7thコードを書いた紙いくつか準備し、これをシャッフルして譜面台の上に乗せておきます。
次に並べてあるコードの順番でコードを弾くのですが、このとき、左手でベースを弾き、次に3rd、7thだけを弾きます。
これができるようになれば、9thや11th、13thのうち、どれか一つを加えるようにしてみて下さい。
この練習法を積み重ねていけば、どんな複雑なコードでも、すぐにピアノで弾けるようになります。
コードを自由に弾きこなせるようになれば、ジャズピアノのマスターに大きく前進できますので、がんばりましょう。