運指とは? | ピアノが上達する練習法
ピアノを弾く時の指使いのことを運指といいます。運指をどのようにするかで、音楽的な表現や弾きやすさなどが変わってきます。
「運指とは? |ピアノが上達する練習法」では、運指について説明します。
1.運指の比較
初心者にとっては、楽譜に書かれている音符が何の音かを考えて、ピアノの鍵盤のどれがその音なのか確認するのに時間がかかって、指番号まで気にしていられない、音がちゃんと出ればいいじゃないかと思うかもしれませんが、例えば「キラキラ星」で指が足りなくなったからといって、「ドドソソララソ」の「ソ」と「ラ」を小指で弾いてしまうような運指は合理的ではありません。
合理的でない運指は弾きにくく、ミスタッチのもとになります。弾きやすい運指は速いテンポで弾いてもミスタッチを起こしにくいものです。
試しに「キラキラ星」で運指を二つ示してみますので、弾き比べてみてください。「ドドソソララソーファファミミレレドー」の部分です。
①1144554 3433221
②2154543 2323231
慣れない運指だと最初は弾きにくいものですが、テンポを速く弾いた時に、①と②では弾きやすさや、手の脱力の具合にかなり差が出てきます。
楽譜に書かれている指番号は、意図があって書かれていますので、その指番号を守ることが基本的な運指をマスターする練習法になります。
1.運指は方法であって、その前に目的がある
前述したキラキラ星の運指は、速いテンポで弾く時や、軽やかでキラキラしたイメージを表現したい時は②のほうがよいでしょう。
では、「キラキラ星」ではなく、ミとラを半音下げて単調にして、曲名も「ドロドロ星」だったらどうでしょうか。
重たくドロドロとしたイメージを表現したい場合は、①のほうが重苦しく弾きやすいと思いませんか?
このように、運指はあくまでも方法であって、その前に作曲者や奏者が表現したい内容(目的)があるため、それにあった運指が作曲者自身によって指示されていることもあります。
作曲者や校訂者によってつけられた指番号には、以下のような意図がありますので、まずは従ってみることが重要です。
1.訓練
指の訓練のための教本や初心者用の教本では、その指を強化することや基本的な運指を身につけることを主目的に指番号が指定されています。
ピアノの楽譜には、すべての音符に指番号が指示されているものもありますが、まったく書かれていないもの、部分的にしか書かれていないものがほとんどです。
指番号が記載されていない場合、どういう運指にしたらよいか悩むことがあると思いますが、そういう時に自分で運指を決められるようにならなければなりません。
指番号が書かれていないからといって、弾くたびに違う運指になるのは、避けなければなりません。
覚えるのも遅くなるし、ミスタッチの原因になりますので、面倒でも、指番号を決めて、それに従った練習法を積み重ねるのが一番なのです。
2.音楽的表現
先ほどの「ドロドロ星」のような場合や、他の指と比べて弱い音を出しやすい薬指を使って、音楽的表現に利用することがあります。
ショパンは5本の指のそれぞれの特徴を考慮して作曲していますので、ショパンらしさを表現するためには、ショパン自身が決めた運指に従えるなら、そのほうがよいのです。
しかし、ショパンのエチュード2番のように、もともと半音階の運指は4番と5番だけでしたが、弾きやすさのために3番を加えた運指に変更されることもあります。
他にも手の大きさなどが考慮されて、レッスン中にその人にあった運指を指示されることがあります。
3.まとめ
指示された指番号には意味がありますので、その意図を理解して、指示された指番号のとおりに弾く練習法で身についていきます。
一番やってはいけないことは、弾くたびに使う指が違う弾き方です。
楽譜に指番号を書き込む・書き込まないは別にして、いつも同じ運指で練習することが重要です。