ピアノの楽譜の演奏記号の読み方について
「楽譜上の記号の意味 | ピアノが上達する練習法」では楽譜の記号やその読み方について書きましたが、演奏記号についてあまり詳しく書きませんでしたので、「演奏記号について」で補足したいと思います。
1.演奏記号
演奏記号は五線記譜法で必須項目ではない記号のことを指し、強弱記号、速度記号、発想記号、アーティキュレーション記号などを言います。
速度記号や発想記号などは記号というより言葉で表現されますが、すべてイタリア語で表示されています。
それでは一つずつ見ていきましょう。
1.強弱記号
強弱記号は音の大きさや大きさの変化を表す記号です。
楽譜の任意の場所に記載される「p」の読み方は「ピアノ」で、意味は「弱く」、「f」の読み方は「フォルテ」で「強く」を意味する記号ですが、ピアノの名前はこの「p」からきています。
「mp(メゾ・ピアノ)」はやや弱く、「mf(メゾ・フォルテ)」はやや強くで、「pp(ピアニッシモ)」はpよりも弱く、「ff(フォルテッシモ)」はfよりも強いことを表します。
音の弱いほうから順番に並べると「pp」、「p」、「mp」、「mf」、「f」、「ff」となります。
音の大きさの変化を表す記号として、ピアノの楽譜の音符に沿って横長に記される「<」や「>」あるいは「crece.」や「decrece.」があり、それぞれの読み方は「クレッシェンド」、「デクレッシェンド」で、意味は「だんだん大きく」、「だんだん小さく」なることを表します。
2.速度記号
速度記号には速度や速度の変化など表示する記号です。
振り子のメトロノームには、中央に文Largo(ラルゴ)やModerato(モデラート)、Allegro(アレグロ)などと書かれているものがありますが、それらはすべて速度記号です。
文字で書かれている速度記号の具体的な速度はメトロノームを参照するとよいでしょう。
また、曲の最初に「♪=80」のように記載されていますが、1分間に八分音符が80拍、つまり1分間を80等分した長さが八分音符1つの長さになることを意味します。
速度の変化を表す記号には、「Piu mosso(ピウ・モッソ、それまでより速く)」、「Meno mosso(メノ・モッソ、それまでより遅く)」や、「rit.(リタルダント、だんだん遅く)」、「accel.(アッチェレランド、だんだん速く)」、「a tempo(ア・テンポ、元の速さで)」などがあります。
3.発想記号
発想記号は、どのような曲想で演奏するのかを表した記号です。
よく出てくるところでは、「cantable(カンタービレ、歌うように、表情豊かに)」、「dolce(ドルチェ、柔らかく)」、「legato(レガート、滑らかに)」などがあります。
4.アーティキュレーション記号
アーティキュレーションとは、指示された音を短く切ったり、強く弾いたり、一定のテンポの中で許される範囲内で長めにしたりして音の形を整えることや、音と音のつなげ方を滑らかにしたり強弱をつけたりすることを意味します。
音符の符頭の上または下に記載される「-(テヌート、音を保って)」、「>(アクセント、強く)」、「・(スタッカート、音を切り離して)」などがあります。
音と音のつながりを表すものとしては、音符と音符を弧でつなぐスラー(音を結びつけて)があります。
2.出てきた時に一つずつ覚える
演奏記号を一度に覚えることは困難です。
特に発想記号などは、イタリア語そのままですので、覚えても使わなければすぐに忘れてしまいます。
曲の中に出てきた記号を、その都度、目で確認し、理解し、どのようにしたらその記号どおりに表現できるか考えながら練習するような練習法で、忘れることなく身に付けることができます。
毎日の小さな積み重ねが大きな力になっていきます。