独学でもピアノが上達する練習法
定期的にピアノのレッスンに通うほど練習する時間がないけど、いつか弾けるようになりたい曲があるような場合、独学で何とかしたいところですが、効果的な練習法を知らなければなかなか難しいものです。
そこで必要なのが、この「独学でもピアノが上達する練習法」です。
1.弾きたい気持ちを維持する
この項目は、ピアノの練習法というより、独学の時の心構えのようなものです。
ピアノのレッスンが定期的にある場合は、レッスンがあるから練習する、お金を払っているからもったいないというような、ある種の強制力によって続けられるという側面がありますが、独学の場合は練習するもしないも自分の気持ち次第です。
難しい曲であればあるほど、練習が嫌になったり、あきらめたりしてしまうものですが、弾きたい曲を弾けるようになりたいという気持ちさえ維持できれば、いつか必ず弾けるようになります。
では、どのように弾きたい気持ちを維持するのでしょうか。
最終的には、それぞれ自分に合った方法を見つけるしかないのですが、参考までに私の方法を3つお伝えしますので、一度試してみて下さい。
1.曲の情報を集める
1つは、その曲に関する情報を集めることです。作曲者や作曲された時代背景、作曲された目的や意図などを知ることで、その曲を弾いてみたい気持ちを高めることができます。
例えば、ショパンの幻想即興曲は、作曲されたのはショパンが亡くなる15年も前なのに、生前には発表されず、遺作となった曲です。
なぜ発表しなかったかについては諸説あるのですが、その中に、ショパンは「照れたから」発表しなかったというものがありました。
いったい何を照れていたんだろうと想像しながら中間部を練習するのは、なかなか面白い経験でした。
2.曲の弾き方のイメージを固める
2つ目は、曲の弾き方をイメージすることです。
これには、できるだけ多くのピアニストの演奏を聴き比べることです。
同じ曲なのに、十人十色の解釈があり、いろいろな表現方法があることを感じます。
独学では、当然ながらピアノの弾き方や練習法については誰も教えてくれませんので、ピアニストの演奏を聴くことはとても貴重な時間でもあります。
複数のピアニストの演奏を聴き比べながら、この部分はこの人、あの部分はあの人の弾き方で、といろいろ考えながら、自分が弾く時のイメージを固めていくことで、弾きたい気持ちを高めることができます。
3.羨むのではなく、憧れる
三つ目は、憧れることです。
心理学の話になりますが、「羨む」という行為には「自分はそうなれない」というネガティブなイメージが含まれています。
逆に「憧れる」ことは、「自分もそうなりたい」というポジティブなイメージがあります。
「羨む」と「憧れる」を別の言葉で表現すると、「どうせ弾けない」と「いつか弾ける」ということです。
独学では、励ましてくれる先生も、褒めてくれる先生もいませんので、自分で前向きになれるように働きかけなければ、続けることができません。
どのようにすれば自分で前向きになれるように働きかけられるのかについては、独学でのピアノの練習法に大きくかかわってきますので、具体的には次の項目でお話しします。
2.小さな成功体験を積み重ねる
さて、ここからが具体的な独学でのピアノの練習法になります。
初見ですぐに弾けないような難しい曲は、譜読みの時からいきなり両手で弾き始めるのは効果的ではありません。
同様に、いきなりインテンポで弾き始めることも逆効果で、「どうせ弾けない」という思いにつながっていきます。
これは、変速機付の自転車でいきなり一番重いギアで自転車をこぎ始めるようなものです。
自転車で一番重いギアでこぎ始めると、前に進まなくて転んでばかりです。
そうすると、失敗体験を積み重ねてしまい、どうせ自転車に乗ると転ぶという刷り込みが行われ、自転車に乗らなくなってしまうかもしれません。
ピアノも同様です。
自転車のこぎ始めは軽いギアにするのと同じように、早く弾けるようになりたい気持ちを抑えて、できるだけ負荷のかからない方法、つまり、片手ずつ、絶対に間違えないテンポで譜読みして、「弾けた!」という小さな成功体験をゆっくり積み重ねることが大切です。
パッセージを短く区切って、左右それぞれ片手で弾けるようになったら、また絶対に間違わないテンポから両手であわせてみて、徐々に早くしていき、更に弾けるようになったパッセージを続けて弾く練習を繰り返していけば、思ったよりも早く一曲を通して弾けるようになります。
弾けるようになると、とてもうれしくて、何度でも弾きたくなるものです。
焦らず、地道に小さな成功体験を積み重ねる練習法で、独学でも楽しみながらピアノを上達させることができます。