ラヴェルのピアノの魅力と練習法
ラヴェルの繊細で印象的な旋律に魅了される方は多いでしょう。
そんなラヴェルのピアノ曲の魅力と、練習方法を紹介したいと思います。
1.ラヴェルについて
モリス・ラヴェルは、クロード・ドビュッシーと双璧をなすフランス印象派音楽の大作曲家です。
同じ印象派手法を使っているにもかかわらず、ドビュッシーの和音で醸し出される独特な雰囲気とはまた異なり、繊細緻密で客観的な描写が特徴的です。
その細やかな表現の為に、ショパンやリストと比べるとやや華やかさに欠けるものの、その美しい旋律と計算しつくされた構成は、聴けば聴くほど深みが増していきます。
ラヴェルの良さがよく分からないという人も、1度弾いてみるとその世界観が分かるかもしれませんよ。
2.ラヴェルのおすすめ曲
1.水の戯れ
ラヴェルのピアノ曲で、最も有名と言っても過言ではありません。
CMなどで1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
その涼やかで流れるような旋律は、まさにその題名にふさわしいと言えるでしょう。
テクニック的にも表現的にも中々難しいものとなっておりますが、ラヴェル好きならば挑戦してみたい曲ですね。
2.クープランの墓
6曲からなる組曲で、古典的でありながら、独特な色彩感が美しいラヴェルの傑作です。
これらの曲は、第1次世界大戦の前後に作曲され、いずれも大戦中に戦死した知人や友人にささげられています。
それぞれの曲が全く違う雰囲気を醸し出しており、ラヴェルがどんな人物へ、どんな気持ちで作曲したかなどを考えると面白いでしょう。
中級~上級までの曲があるので、自分の上達度にあった曲を選んでみてはいかがでしょうか。
3.ラヴェルのピアノ曲の練習法
さて、ここからはラヴェルのピアノ曲を練習するうえでのポイントを、いくつか挙げていきます。
まず1つ目のポイントは、「譜読みミスをしない」ということです。
これは、どの曲を譜読みする時でも言えることなのですが、敢えてこれを言うのは、ラヴェルの曲が非常に譜読みミスをしやすいからです。
ラヴェルの印象的な和音は、ショパンやベートーヴェンとは異なり、よほどラヴェルを弾きなれていなければ初見で弾くのは難しいでしょう。
また、ラヴェルの和音は不協和音を用いていることも多く、自分で弾いているだけではミスに気が付きにくいです。
他の人に聞いてもらうか、CDなどでよく聞き比べてみましょう。
そして、ラヴェルを弾く時の最大のポイントは、「指使いを徹底的に考える」という事です。
ラヴェルはその緻密な構成の為に、普通の指使いが当てはまらず、楽譜にも何の番号も振られていない場合が多いです。
しかしながら、ラヴェルのピアノ曲で上達できるかは、最初の指使いの決め方で決まると言ってもよく、この部分をおざなりにこなすと、後で痛い目を見ることになります。
最も多いのは、片手の和音の一部をもう片方の手で取るというものです。
例えば、右手の4音の和音のうち、1番下の音を左手の和音に組み込むなどです。
他にも、変え指を使ったり、和音を分解して弾いたりするなど、様々な弾き方があります。
ラヴェルを初めて弾く人や初心者の方は、1度経験のある方に見てもらうのがベターでしょう。
ラヴェルのピアノ曲を練習する時は、とにかく譜読みが大切です。
いつもの倍くらいかける気持ちで臨んだ方が、最終的には完成度が高くなると思いますよ。