表現力を向上させる練習法 | ピアノの上達法
音楽を分析する力と表現する技術力、そして表現したい気持ちを、それぞれに高めることでピアノの表現力は向上します。
本記事では、表現力について考えてみましょう。
1.呼びかけと応答
まずは、音楽の成り立ちを知ることからはじめましょう。
それぞれの曲は一つの物語りと同じで、文章に相当するメロディがいくつもつながって一つの曲になります。
文章の中にも起承転結や句読点があるように、メロディにもいくつかのまとまりがあって、それがつながってできています。
メロディは短いフレーズが集まってできていますが、途中で曲をとめてみると次につながりたいのか、一つの終わりなのかがより明確になります。
例えばチューリップの歌の場合、①「ドレミードレミーソミレドレミレー」のところで止まってみると、とても中途半端な気がします。
これは、このフレーズが一つのまとまりを持ちながらも、曲を終わらせる「。(句点)」の役割ではなく、次へのフレーズへのつながりを期待させる役割、つまり「、(読点)」の役割を持っているためです。
このフレーズのあと、②「ドレミードレミーソミレドレミドー」ときて、はじめて一つのまとまりを持つことができます。
音楽では、①のようなフレーズが持つ役割を「呼びかけ」といい、②を「応答」といいます。
そして、①と②だけではまだ曲としてのまとまっているとはいえない感じがします。
次に③「ソソミソララソー」(呼びかけ)④「ミミレレドー」(応答)ときて初めて①起②承③転④結となり、一つの物語を持った曲として成り立っています。
また、もっと大きなまとまりで考えると、①+②を呼びかけてと見れば、③+④を応答と解釈することができます。
逆に①の中でも「ドレミードレミー」を呼びかけ、「ソミレドレミレー」を応答と考えることもできます。
海岸で波が打ち寄せてきた後は必ず引いていくように、いくつものフレーズがそれぞれ必然的なつながりをもって曲が成り立っていますので、その曲がどのように成り立っているのか一度分析してみましょう。
2.聴いて、知って、やってみる
呼びかけと応答を分析した後は、それをどうやって表現するかを考えてみましょう。
物語を音読する時、機械が読むように息継ぎもなく抑揚もなく一本調子で読んでも何の面白みもないように、演奏する時にも、ためや強弱、テンポの揺れがあってこそ自然であり、そこに感情表現が生まれます。
たいていの曲は、既にいろいろなピアニストが演奏していて参考にできる音源もすぐ手に入れることができます。
曲を分析した後でプロのピアニストがどう表現しているかを聴いてみると、いろいろなことが見えてきます。
そのような様々な表現を感じ取りながら、プロの演奏をたくさん聴いてまねしてみることが表現力を向上させるための第一歩でしょう。
新しい発見があったとき、人は喜びを得ます。
その喜びがピアノを弾きたい、弾けるようになりたいという気持ちを持つための大きな力となります。
技術力については、ピアノのいろいろな練習法の説明がありますので、ここでは割愛します。
呼びかけと応答の分析を積み重ねて、たくさんいい演奏を聴いて、弾きたい気持ちが高まれば、技術を向上させる地道な練習法にも張り合いが出てきます。
がんばろう、と思わなくても自然にがんばってしまいます。
がんばらずにがんばって、ピアノの表現力を向上させましょう。