ピアノを両手で弾く練習
ピアノを左右それぞれの手で練習した後、両手で合わせる練習をします。
しかし、片手でそれぞれ完璧に弾けたとしても、両手を同時に別々に動かすとというのは思ったほど簡単ではないことです。
「ピアノを両手で弾く練習
では両手で別々の動きを同時に動かせるようになるポイントをご紹介します。
1.両手で別々の動きが出来ない理由
体を動かす時、右側は左脳、左側は右脳から命令を出しますので、右手と左手の命令系統が異なります。
これを一つの動きにする働きをするのが右脳と左脳の橋渡し役を担っている脳梁といわれる神経回路です。
ピアノを両手で弾くということは、右脳と左脳がそれぞれ脳梁を通して活発に情報を共有していることになります。
このプロセスを日常生活の中で別の働きとして考えてみると、例えば、音を耳で聞き(右脳)、内容を理解する(左脳)とか、やりたいことをイメージし(右脳)、イメージしたことを言語化する(左脳)ことがあげられます。
言葉は生まれた時から聞いて育っていますので、言語に関する脳梁の神経回路は発達していますが、左右別々の指の動きを同時に行うための神経回路が脳梁の中にないため、この神経回路が発達してくるまでは苦労がつきまとうのです。
2.まず10から1に減らす
慣れていない動きを練習する時、より簡単な動きをすることから始めるほうやりやすいですので、10本の指をどのように動かすか、ではなく、2本の手をどのように動かすかをまず考えてみましょう。
まず、左右の脳で情報を共有するために、曲のリズムを両手でパンパンと打つことから始めます。
左右同時に音を鳴らすタイミングでパン、右手だけの時もパン、左手だけの時もパンと手を叩き、曲全体のリズムの流れを覚えます。
これが、10を1にした作業です。曲全体のリズムの流れを覚えたら、次のステップとして、1を2にします。
つまり、右と左にわけて膝を叩きます。左右同時に音を鳴らすタイミングで両手で膝をパン、右手だけの時は右手だけで膝をパン、左手だけの時は左手だけで膝をパンと叩きます。
これができるようになってから、ピアノの鍵盤の上で10本の指を動かす練習をします。
左右別々に膝を叩いていたタイミングを10本の指に分割していくのですが、この作業も結構頭を使う作業であったことがわかります。
それを、曲全体のリズムの流れも把握しない、つまり左右の脳で情報を共有していない状態で、いきなり両手で弾き始めることが、どれほど無謀な試みであったかがわかるでしょう。
3.リズムの分割はいつまで必要か
新しいピアノ曲を弾けるようになるために、片手ずつ練習し、両手で合わせる前にリズムを分割して練習するような練習方法は、いつまで続くのでしょうか。
ピアノをたくさん弾いて、脳梁の中でピアノを弾くための神経回路のパターンが増えれば増えるほど、このような練習を省略することができるようになってきます。
たくさん弾けば弾くほど、神経回路が発達してきますので、片手ずつの練習も不要になって、いきなり楽譜を見て両手で弾いたりすることはもちろん、音だけを聴いて楽譜もなしに弾くこともできるようになるのです。
がんばればがんばるほど、速く脳梁が発達しますので、楽譜を見ただけで弾けるようにどんどんがんばりましょう。