鍵盤のおさえ方 | ピアノが上達する練習法
ピアノを弾くときの鍵盤のおさえ方によって、ピアノの音色が変わってきます。
「鍵盤のおさえ方|ピアノが上達する練習法」では、そのメカニズムを説明します。
1.ピアノの音色
最近の研究で、純粋なハンマーが弦をたたいたときの音だけではなく、鍵盤を底までおさえたときに鍵盤と鍵盤の下の木がぶつかった時に発生する雑音が音色に影響を与えていることがわかってきました。
鍵盤底部で発生する音が弦の音に混ざると、聴いている人には「硬い音」として認識されます。
ハンマーを動かすだけなら、鍵盤を底まで押し込む必要はないため、鍵盤底部の雑音が出ないように鍵盤をおさえれば、美しい弦だけの音が聴こえてきます。
2.鍵盤のおさえ方・打鍵時
鍵盤から指を離して高いところから指を落とすと、鍵盤に指がぶつかった時につめがあたって音がします。
この雑音はピアノの音色には影響しないただの雑音ですので、鳴らさないようにするほうがよいので、指は鍵盤に触れた状態にしておきます。
硬い音を出すためには、鍵盤を底まで押し込んで雑音を発生させることが必要ですので、指を立てて鍵盤を底までしっかりとおさえます。
しっかりと強く押し込むために、指を振り上げるのではなく、腕に一瞬力を入れて指を手のひらのほうに曲げるようなつもりで指に体重を乗せて鍵盤を押します。
柔らかい音を出すためには、鍵盤を底まで押し込まずに鍵盤底部にぶつからないようにすることが必要ですので、指を伸ばして指の腹で鍵盤をおさえるようにします。
2.鍵盤のおさえ方・打鍵から指を離すまで
鍵盤をおさえて離すまでにピアノが弦に物理的に作用することは、打鍵時に、ハンマーとダンパーが動き、弦が振動することと、鍵盤から指を離すことで、ダンパーが下がって音を止める、これだけです。
音が出た後に鍵盤上で指がどのような動きをしようが、弦にはどんな作用もしませんので、指を揺らしてもビブラートはかかりません。
また、打鍵した後にどんなにがんばって鍵盤をおさえ続けても、音が大きくなったり広がりが出るようなこともありません。
プロのピアニストとアマチュアの打鍵時の指の力の入れ方に関する研究がありますが、アマチュアよりプロのほうが打鍵時から脱力するまでの時間が0.5秒も短いことがわかっています。
硬い音を出すために力を入れて打鍵した後は、いつまでもおさえているのではなく、できるだけ速く脱力して、鍵盤が上に上がらないように指を乗せておくだけにします。
ちなみに鍵盤の重さはだいたい50g前後ですので、指の重さだけで十分おさえられるはずです。
3.鍵盤のおさえ方・打鍵から指を離すとき
鍵盤から指を離す時、勢いよく戻すと小さな音ですが、雑音がします。
大きな音で演奏している時は気になりませんが、ピアニッシモや高音部では気になってしまうことがあります。
指をそっとはなすようにすれば雑音は出ませんし、滑らかに聴こえますので、そっと離すようにしましょう。
4.鍵盤のおさえ方・練習法
指を立てて硬い音を出せるように、鍵盤を底まで押して雑音を出し、すぐさま脱力してゆっくり鍵盤を離すためには、指先で円を描いて鍵盤をはじくようにします。
ただし、雑音を出さないためになるべくゆっくりと鍵盤から指を離すこと念頭において、打鍵した後はすぐに指を離すのではなく、ゆっくり持ち上げるようにします。
指を伸ばして指の腹で鍵盤をおさえる場合は、ゆっくり鍵盤を押さえ、小さな音で練習しながら、感覚をつかんでいきます。
一つの曲の中で、鍵盤のおさえ方を使い分けられるようになるまでには、地道な練習が必要ですが、時間をかければでできるようになりますし、ピアノ曲を聴く耳も育ってきます。
決して無駄にはなりませんので、がんばりましょう。