フォルテの弾き方|ピアノが上達する練習方法
ある時生徒が、「ピアノで曲を練習しているけど、フォルテの部分で上手な弾き方が出来ない」と、私に言ってきたことがあります。
ピアノを何年も弾いていて、ピアノがどんどん上達している生徒でしたが、曲の途中にフォルテで弾きにくい部分があり、困っていました。
ピアノの曲によって、フォルテで弾きやすい曲、弾きにくい曲がありますし、ピアノの曲のある部分のフォルテが弾きにくいということも、もちろんあります。
フォルテを弾くのが苦手という人もいるでしょう。
ピアノが上達してくると、「今更、フォルテの弾き方なんて簡単に出来る」と思ってしまいがちですが、今回は、フォルテの弾き方を改めて見ていきましょう。
1.フォルテの弾き方
フォルテの弾き方にも、いろいろな弾き方があります。
どんなフォルテを弾きたいかで、弾き方が違います。
1.打鍵速度が速い弾き方のフォルテ
打鍵する速度(鍵盤を下げる速度が速い弾き方)でフォルテを作ることが出来ます。
指がピアノの鍵盤を弾くという動作は、鍵盤に指がふれているところから、指が鍵盤を下げる・・・その瞬間に、指が鍵盤を下げるために筋肉に力が入るけれども、すぐに脱力される・・・というものです。
その、指が鍵盤を下げる速度が速く、瞬時に押し下げられた弾き方が、フォルテの音を作ります。
このフォルテは、鋭い感じの、きついイメージのフォルテで、速いパッセージをフォルテで弾きたい場合や鋭いフォルテを出したい場合などに、この弾き方でフォルテを弾きます。
2.重みをのせる弾き方のフォルテ
腕の重みを、弾きたい音にのせて作るフォルテです。
体の重心をしっかりと低くして下半身を固定し、腕の重みを、指を通して弾きたい音にのせてフォルテを作ります。
このフォルテは、ドーンとした太く雄々しい音、また、和音を強く響かせたいときなどに、この弾き方でフォルテを作ります。
2.フォルテを上手に弾く為に気をつけること
ここでは、フォルテを上手に弾く為に気をつけなければならないこと、そして気をつけるための練習方法についてお話します。
フォルテの弾き方はどちらも、説明を聞いてすぐに出来るものでなく、それを自分で何度も弾いてみて体得しなければならないものです。
その上、脱力が上手に出来なければ、どちらも響きのあるフォルテになりません。
ですから、フォルテの弾き方を体得するために、何度も練習しても、脱力がうまくできていなければ、練習が無駄になってしまいます。
そこで、脱力がしっかり出来ているかを確認しながら練習する方法です。
重みをのせてフォルテを作る弾き方で、和音をフォルテで弾いてみて下さい。
このフォルテの弾き方も、打鍵速度が速い方のフォルテの弾き方と同じで、打鍵する瞬間は力が入りますが、鍵盤が下がると同時に脱力します。
このように、弾く瞬間は力が入って重みをのせて和音を弾き、指は鍵盤を下げたまま(鍵盤を弾いたままの状態)、手や腕の力が抜けているか、確認してみて下さい。
手や腕から力が抜けている感覚は、お風呂に浸かって、手や腕を浮力で浮かしたような感覚です。
指は、鍵盤を弾いたまま(鍵盤を弾いたまま)力が抜けた感覚を感じてみて下さい。
こんなふうにフォルテの弾き方を練習しながら、脱力の感覚も練習します。
打鍵速度の速い弾き方で練習する時も、同じように、フォルテで音を1音弾きます。
弾く瞬間は力が入りますが、指が鍵盤を下げたたままの状態で、手、腕の力を抜いてその感覚を感じてください。
そして、次の音、次の音と順番に「弾いて、脱力を感じて」の練習を、ゆっくり繰り返してください。
「フォルテの弾き方」と思うと、強く弾く事ばかりに気がいってしまいますが、大切な脱力を忘れないように、練習していきましょう。