ピアノで装飾音の練習法
装飾音は、曲に音の広がりや可愛らしさを加えてくれる、大切な音符です。
「たかが装飾音」と侮ってはいけません。
正しい練習法で、きれいな装飾音の気持ちの良いピアノを弾きましょう。
1. 装飾音の大切さを理解しましょう
装飾音を、ただメインの音符に付属している小さい音符、と思ってはいませんか。
たしかに装飾音はその名の通り、他の音を装飾するための音符です。
他の音に比べて一瞬ですし、なんとなく弾いとけばそれっぽく聞こえる気がしてしまいます。
しかし、実際には曲調を大きく左右する重要な音であり、きちんと弾いた時と弾かない時とでは、感じが変わってしまいます。
たとえば、ショパンの子犬のワルツを聞いてみて下さい。
子犬の転げまわるような序盤の部分が終わった後のゆったりとしたパート。
これは同じメロディーが2回繰り返されるのですが、2回目は装飾音がついています。
がらっと感じが変わるのが分かるでしょうか。
1回目とは違い、2回目はなんとも可愛らしい雰囲気になっていますね。
これは装飾音符がしっかりと入る事によって、生み出される効果です。
子犬のワルツでの装飾音は1つですが、他の曲ですと一瞬の間に装飾音符が3つも4つも入るものもあります。
こうなると、より装飾音をきれいに入れることは難しく、前の音と重なってしまったり、テンポがずれたりしてしまいます。
そうすると、曲の雰囲気が台無しです。
装飾音は、つぶさずはっきりと、テンポがずれないようにする為の練習法が必要です。
次からは、具体的なピアノの装飾音の練習法についてお話しします。
2. ピアノの装飾音の練習法
1. 装飾音が1音の時
装飾音が1音だけの時はそれほど難しくありません。
テンポ的にも指の動き的にも楽だからです。
1音の装飾音を弾くときは、装飾音からメインの音符に向けて一気に飛ぶイメージで弾きましょう。
この時重要なのは、速く弾きすぎて和音のようにならないことです。
速いテンポのものほど、同時に弾いてしまいがちです。
装飾音と言えども1つの音符です。
しっかりと区切って弾くようにしましょう。
2. 装飾音が2音以上の時
装飾音は様々な種類がありますが、多い時ですと4つや5つ入ってきます。
その時に、やってしまいがちなのが、真ん中の音をつぶしてしまう、すなわち、真ん中の音が不明瞭になってしまうという事です。
テンポを合わせようとつい、装飾音の真ん中の音をおろそかにしてしまいます。
これの厄介な点は、自分で弾いている時はなんとなく弾けているような気がしてしまうという点です。
装飾音の最初の音とメインの音が弾けていると、特に独学でやっている方や初心者の方は、弾けていると勘違いしてしまいがちです。
ところが、実際にプロの演奏家と聞き比べてみると、まるで違うと思います。
ほんの一瞬の数音なのですが、これがきちんと弾けているとのと弾けていないのとでは、感じがまるで違うのです。
そこで装飾音を上達するうえでやってもらいたいのが、ゆっくりと弾く練習です。
先程述べたように、テンポを合わせようと思ったら、装飾音は速く弾かなければなりません。
しかし、最初からテンポ通りに弾こうとすると、どうしても1音1音はっきりと弾くのは難しく、さらには真ん中の音をつぶしてしまう癖までついてしまいます。
全ての音をしっかりと弾く癖をつけるためにも、まずはゆっくりと弾きましょう。
その後に、徐々に徐々にテンポを上げてみて下さい。
それでもダメな場合は、全ての音をフォルテで弾いたり、スタッカートで弾いたりしてみましょう。
指のコントロールがうまくなるので、速く弾けるようになりますよ。
多音の装飾音は、結局速い細かいパッセージを練習するのと同じです。
根気強く、コツコツと練習していく事でピアノは上達します。
装飾音の練習は特に地味でつまらないかもしれませんが、そこを敢えてじっくりと練習しましょう。
必ず弾けるようになる日が来ると思いますよ。