ピアノのテヌートの上手な弾き方と練習方法
ピアノの楽譜に出てくるテヌート、何気なく弾いているけれど、正しくわかりやすく「こういう弾き方」と説明できますか。
テヌートは、「音をのばして弾く」・・・では、ちょっとわかりにくいですね。
今回は「テヌートの上手な弾き方と練習方法」についてです。
1.テヌートとは
この項目では、テヌートの意味と、弾き方についてお話します。
1.テヌートの意味
テヌートとは、どういう弾き方をするのか、その意味を考えます。
テヌートを音楽辞典で調べてみると、「演奏記号の1つで、テヌートがつけられている音符の音の長さを充分に保って演奏すること、音符の上の「-」の記号で表す」とありました。
ではその通りに音符の上に横棒「-」のテヌートがついていたら、音を充分に保って・・・ということは、「音をのばして弾く」・・・あれ、結局、冒頭の言葉と同じです。
「音を充分保って」ってどのくらい?スラーのように弾くのだろうか、だとしたら、スラーのところにテヌートがついている場合は・・などなど、迷ってしまいます。
テヌートは、ついている音符の音価の3/4くらい伸ばすと考えられているようですが、ただ伸ばすということだけでなく、その音を「印象づけるように弾く」「強調したような感じで弾く」という意味合いも含まれているように思います。
テヌートは、音の長さを充分保って弾くことももちろん大切ですが、弾いている曲、また、弾いているそのフレーズによって、そのテヌートの役割の意味を考えた弾き方をしたら良いと思います。
2.テヌートの上手な弾き方
ここでは、テヌートの上手な弾き方を考えていきます。
テヌートは、音の長さを充分保つ、そして、テヌートがついている音符を「印象づけるように」「強調した感じに」弾くという意味合いも含んでいるので、深く指を押し下げるようなタッチで弾くと、そのような音を作ることが出来ます。
テヌートを弾くのに合ったタッチとは、ピアノの鍵盤にふれている指を押し下げると同時に、力は抜きますが、指先は鍵盤の底に留まったままの状態で、充分音の長さを保ってから、次の音を弾くのと入れ替わるように、今弾いていた鍵盤が上がる・・・そんなタッチです。
また、「印象づける」や「強調した感じに」弾くには、少し強い音で弾く事や、少し重たい感じの音で弾く場合もあります。
2.テヌートを上手に弾く為の練習
テヌートで、音の長さを充分保った深い音色を出すには、どのような練習をするのが良いでしょうか。
またここでも必要な事は、脱力することです。
脱力は、ピアノのいろいろな弾き方を上達させる上で、本当に大切です。
先ほどの、テヌートを弾くのに合ったタッチの説明で「ピアノの鍵盤にふれている指を押し下げると同時に、力を抜く」というところがありましたが、肘、手首を使って脱力することが、深い音色を作るのにはとても大切で、それがしっかり出来るような練習方法をお話しします。
手や腕に力が入ったままでは、音が固くなり、それでテヌートの音を弾き続けていくと、ますます固い音が続いていきます。
この練習は、脱力できた手、腕で、響きのきれいな深い音を出す練習です。
まず、音を弾く前も手に力が入っていないか、気をつけてください。
「さあ、音を弾こう」と構えてしまって手や腕に力が入ってしまっていることもあるので、しっかり力が抜けているか確認してください。
そして、ピアノの鍵盤にふれている指を押し下げる瞬間は筋肉に力は入りますが、鍵盤を押し下げた後、指先は鍵盤の底に残したまま、肘、手首を使って、力を抜きます。
その状態でいったんストップして下さい。
その状態は、指先が鍵盤の底についたまま肘が少しだけ斜めに上がっています。
そこで、手や腕は力が抜けていることを感じてください。
この練習は、1音だけ、それも力を抜く事に重点を置いた練習ですが、それが上手に出来ないと、テヌートの、音の長さを充分保った深い音色を弾いていくことは出来ませんので、その感覚を身体で覚えられるように、動きを何度も練習して脱力の仕方を上達させましょう。
その感覚がわかったら、次の音へとつないでいきます。
テヌートを上手に弾く為の練習は、脱力のできた、深い音色を出す練習だと思います。