ピアノのスラーの上手な弾き方と練習方法
ピアノの練習では、いろいろな記号が楽譜に出てきますが、その中にあるスラーとはどのような弾き方を表すものでしょうか。
スラーとは、複数の音符の上にかけられている、弧の形をした記号で、「滑らかに演奏する」という意味です。
今回は、「ピアノのスラーの上手な弾き方と練習方法について」です。
1.スラーの上手な弾き方
この項目では、スラーを上手に弾く方法を3つお話します。
スラーは、弧の長さが短いものも、また長いものもあるし、「スラーを滑らかに弾いて」といわれても、どのように弾いたらよいのでしょうか。
1.音と音を滑らかにつないで弾く
スラーの弾き方、どういう弾き方をしたら音と音が滑らかにつながるのかを説明します。
スローモーションの動きのように、スラーを弾く時の指の動きを追ってみましょう。
スラーのかかっているところの最初の音を弾いている指が、音を出し(その時指は、ピアノの鍵盤の底に着く)、そして、戻ろうとする時、すでに次の音を弾く指が、音を出し(次の指がピアノの鍵盤の底に着き)、その2番目の指が戻ろうとするや否や、3番目の音が出ている(3番目の指がピアノの鍵盤の底に着く)・・・というように連続していく動きが、滑らかに弾くための指の動きです。
もう少しわかりやすく言うと、スラーがかかっているところの音は、次の音に微妙にかかるくらいに充分音を弾く長さを保って弾いていく弾き方が、スラーの弾き方です。
2.フレーズを感じて、そこに表情をつけ滑らかさを表現する
物理的な指の動きだけでなく、音楽的にも滑らかな感じになるようにフレーズを感じ、そのフレーズに表情をつけましょう。
フレーズとは、メロディのひと区切りのことです。
指で、スラーの滑らかな弾き方が出来るようになっても、それだけでは、滑らかな棒弾きという感じの、魅力にない演奏になってしまいます。
そのフレーズに合う、強弱や、クレッシェンドやデクレッシェンドがあったり、また、音色が優雅だったり、深く沈んだ感じの音だったりと、いろいろな表情をつけることが出来ます。
スラーは、フレーズを感じて、そのフレーズにあうように表情をつけて、滑らかさを表現しましょう。
テクニックだけでなく、フレーズを美しく表現出来るようにすることは、ピアノの上達につながっていきます。
2.スラーを上手に弾くための練習方法
ここでは、スラーを上手に弾くためにはどのような練習をしたらよいかということをお話しします。
「スラーを上手に弾く方法」の1つ目、「音と音を滑らかにつないで弾く」の項目で説明したように、指が、スラーがかかっている音を充分な長さを保って、微妙に重なるぐらいの間合いで弾いていく為には、ピアノの鍵盤を弾く為の指が1本1本それぞれ、しっかりと独立出来ていなければなりません。
独立していない指で弾くと、指がフラッとして、音と音との間が切れてしまい、上手なスラーは弾けません。
また、音楽的にも滑らかなスラーになる為、フレーズに表情をつけることも、指が1本1本独立していて、ピアノの鍵盤の上を指が自分の思うように自由に動いてこそ出来ることです。
指がしっかりと独立して動くように練習しましょう。
といっても、何も1から指を鍛えることをしなくてもよいのです。
スラーで弾きたいフレーズを使って、そのフレーズをゆっくりと「音と音を滑らかにつないで弾く」弾き方で上手に出来るように弾いてみることで、「そのフレーズを弾く為の指」は、鍛えられていきます。
そんなふうにして、うまく弾けない場所の指を鍛えていくことで、だんだんと指が独立していき、スラーを上手に弾ける、独立して動ける指になっていきます。
ピアノは、出来ないところを出来るようにしていくことで、一歩一歩上達していきます。
スラーもそうやって、上手に弾けるように練習していきましょう。