ピアノを弾くときの正しい姿勢

「ピアノを弾くときの正しい姿勢」について、鍵盤に力を伝えるための姿勢という視点で考えてみたいと思います。

鍵盤に力を無駄なく伝えるためには、腕や体幹の形についても考えなければなりません。


1.指にかかる重さ

ピアノで和音を大きな音で響かせるためには、指に体重をのせることが必要ですが、実際にどのくらいの重さがかかるのでしょうか。

鍵盤にどのくらいの重さがかかるかのか、試しに計量器で量ってみました。

計量器の皿をピアノ鍵盤に見立て、フォルテで鍵盤を弾くつもりで人差し指で皿を押さえてみたところ、700gから800gを表示していました。

アナログな計量器であるし、これで正確な計測ができるのかどうかはわかりませんが。。

とりあえず、一本に700gかかるとして、五つの和音を片手で弾くためには3500gの重さが必要ということになります。

解剖学では、腕の重さは体重の1/16といわれていますので、体重を50kgとすれば片腕で約1.5kgになります。

片手で5つの音をフォルテで同時にならすためには、腕の二倍以上の重さが必要ということになりますので、上半身の重さも指にかけなければ弾けない計算になります。


2.腕の形

このように、指や手には大きな力がかかるため、腕をねじったりするような不自然な体勢は腱鞘炎などになる要因になります。

腕をねじらずに手のひらを下に向けるには、脇を開いて、肘を外側に向けて出すようにして、がに股ならぬ、「がに腕」にします。

がに腕の状態で指を鍵盤の上にのせ、腕の力を抜いて5本の指で腕を支えるつもりで徐々に指に力を入れていくと、指に腕の重さがのって鍵盤が下がってきます。


3.体幹の傾き

体の重さを指にのせるためにはどうしたらよいでしょうか。

両手を鍵盤につけたまま、指と腕で体を支えながら、よっこらしょ、と立ち上がるつもりで、頭を鍵盤の上あたりまで移動させ、首を曲げて鍵盤を見下ろすような形にしてみて下さい。

腕や肩甲骨あたりに力を入れることで指に体重がのっていることが分かると思います。


3.背筋を伸ばして待機

これまで指に腕の重さや体重をかけることを体験してみましたが、実際にピアノを弾いている間中、ずっと指に重みをかけるわけではありません。

打鍵する一瞬にかければ十分なのですが、腕の重さを瞬間的にかけられる位置、体重を瞬間的にかけられる位置で待機しておかなければなりません。

それには背筋を伸ばしてがに腕で、やや前傾姿勢にしておくのがよいと思われますが、これも個人差がありますので、自分にとって最もよい姿勢を探してみましょう。

いろいろな練習法を試す前に、その練習法を効果的にする姿勢について考えてみることはとても大切だと思います。

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